1/7ページ目 何となく、気まずい日が過ぎていった。 私がこんな風に悩んでいるなんて、きっと蓮は想像もしていないだろう。 教室で友達と他愛のないことで笑いあったり、ふざけたり、いつもと変わらない私でいたけれど、 頭の中の一箇所に真っ白な空間が出来ていて、日に日にそれが大きくなっていく。 その空間の中で、蓮の姿や声がぐるぐると渦を巻いている。 私の中の蓮の存在に、圧倒されたみんなの声や授業中の先生の声は、フィルターを通して遠くから聞こえているみたい。 あの日以来、メッセは立ち上げていない。 蓮から何て言われるか、考えるのも怖くて。 それでも、蓮の声を聞くことが出来ないでいるのが辛くて。 泣きたい夜が何日も続いた。 「たっちばなせんぱーい」 放課後、 下駄箱に向かっていた私は、聞き慣れない男子の声に呼び止められていた。 振り返ってみると、そこにいたのは3人の男子。 見かけない顔だし、1年生のよう。 3人共、髪は茶髪でピアスもしていて、いかにもチャラ男って感じ。 真ん中にいたコが、一歩前に出て右手を高く上げて言った。 「俺、樋口春人は、先輩に交際、申し込みますっ!」 下校時間で人の通りの多い廊下での大声での宣言。 私たちは、一瞬で周囲の注目の的になってしまっていた。 「おー、すっげー!マジ、告ったし」 「せんぱーい、返事ヨロシク。ズバッと切っちゃっても全然OKなんでー」 春人(ハルト)と名乗ったコの後ろにいた2人の男子が、いかにも頭の軽そうな口調でニヤけながらそう言ってきた。 「おめーら、うるせーってぇの」 そんな二人を春人は一喝すると、改めて私に向き直りズボンのポケットに手を突っ込んだまま、私の目の前まで近寄ってきた。 身長は180ちょっとあるみたい。 165の私が見上げる位の背の高さ。 春人はニッと歯を見せて笑うと、体をかがめ、私の耳元に顔を近付けてきた。 周りのヤジ馬の中から、キャーッという声があがる。 歓声じゃなくて、春人の行為を止めようとするような抗議の声。 女のコには人気がありそうなイケメンの部類に入る顔してるしね。 そんな女子たちから、変にライバル視されちゃうのも迷惑な話なんだけど。 そんなことを考えていると、耳元に囁くような春人の声が響いてきた。 「俺、先輩の秘密、知ってんだけど」 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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